「かいじゅうたちのいるところ」と「いるいるおばけがすんでいる」

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あまりにも有名な絵本「かいじゅうたちのいるところ」ですが
この絵本が発行される およそ10年前に
「いるいるおばけがすんでいる」という題で発行されていた事を知ってますか?
私は最近まで全く知りませんでした。
去年絵本サークルの勉強会で 「コルデコット賞」の受賞作品を調べている時に偶然見つけた人がいて、初めて手に取りました。

■「かいじゅうたちのいるところ」1975年(冨山房)神宮輝夫 訳
■「いるいるおばけがすんでいる」1966年(ウエザヒル出版社)ウエザヒル翻訳委員会 訳  

「いるいるおばけがすんでいる」は、なんと 550円 安い!(当時は高かったんでしょうが・・・)
訳と監修はそれぞれ5人で行っているようで、5人の名前が連ねてありました。
5人で翻訳するのって難しそうですよね。
しかも、監修委員5名の名前の中に 「三島由紀夫」なんてあるからビックリです。本当にあの三島由紀夫さんなんですかねぇ。
もし、そうならちょっと見直してしまいます。 
子どもの絵本と馬鹿にせず、文学として認め ちゃんと向き合っていたという事でしょうから。



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色のトーンは、「いるいるおばけがすんでいる」の方が黒が強くカラーが薄いようです。

文章は、神宮さんの訳は端的な短文なのに対して、「いるいるおばけがすんでいる」の方は「・・です」「・・ました」「・・ます」が最後につく文が多く、繰り返しの文が詩のようで、流れるようにリズムカルに話しが進みます。

その辺の違いが特にわかるのが いたずらマックスが寝室に放り込まれるシーン

『かいじゅうたちのいるところ』では

おかあさんは おこった。「この かいじゅう!」
マックスも まけずに、「おまえを たべちゃうぞ!」
とうとう、マックスは ゆうごはんぬきで、しんしつに ほうりこまれた。

『いるいるおばけがすんでいる』では

「まあ こわい!」
おかあさんが ふるえます
びっくりぎょうてん ふるえます
「たべちゃうぞ!」
ぼうやが あんまり さわぐので 
とうとう ぼうやは ねどこべや
「ばんごはんも あげません!」
ぼうやはひとりで おこります
ぼうやは ぷんぷん おこります

どちらが良いとは言えません。
どっちも独特の味わいがあるのです。
ただ、マックスのやんちゃぶりをバシッと伝えてくれるのは
「かいじゅうたちのいるところ」のほうかなぁ。
無駄のない文で、トントンと話しが進んでいくのに対して、
「いるいるおばけがすんでいる」の方は、文章がまどろっこしく感じるかもしれません。
でも その分ちょっとのんびりムードで話しが進むので
ゆっくりとマックスの世界に浸りながら たっぷり絵を楽しんで見るには良いかもしれません。
 
中途半端な違いではなく、まったく違った雰囲気の訳なので
好みは分かれるかもしれないけど、「いるいる」もいい感じです。

この絵本が大好きっていう子はたくさんいますけど
小さい頃、ちょっと恐くて駄目だったという子も結構いるんですよね。
そういう子には、全体的にソフトな印象の「いるいる」のほうが良いかもしれないですね。

ずっと「かいじゅうたちのいるところ」の文に慣れて楽しんできたので
最初は違和感があったけど、何度も読んでみると
私は、「いるいる」の方が好きかもって思えてきました。

読み比べた事がある方がいたら、ぜひご意見聞かせてくださいね♪

余談ですが、映画化されるそうですね。
どんな映画になるんでしょう。ちょっと心配・・・・。
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by Rupinasu_3 | 2005-06-03 16:33 | 絵本のこと話しましょ


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